vol.34 【第23回】BtoCビジネスを成功に導く『債権回収』 電話対応におけるケース別対応法 その9

本日は未成年者が購入した商品について、
「親である自分が取り消す。支払い義務はないはずだ。」という申告があった場合の
対処法について解説いたします。

 

未成年者が契約するには、親権者の同意を得る必要があります(民法5条1項)。
そして、同意を得ずにした法律行為は取り消すことができます(同2項)。
契約が取り消されると、契約はなかったものと扱われ(民法121条)、
会社側は、受け取った代金があれば返金する必要がでてきます。

 

ただし、以下の場合には、未成年者であっても取り消すことはできません。

(1)親権者が追認した場合
親権者が、子供が親の同意なく契約したことを知りつつ、明示黙示に同意した場合は、
もはや取消はできなくなります。
親が代金の一部でも支払った場合は、追認と認められるでしょう。

(2)子供のお小遣いの範囲と認められる場合
親権者が子供に対して、「自由に使ってよい」と許可した金額の範囲内で
未成年者が契約した場合には、取消の対象とはなりません(民法5条3項)。
どの範囲がお小遣いの範囲と言えるかは、年齢と金額によって区々ですが、
1万円~2万円程度の商品であれば、会社側としては取り消しを認めないという
スタンスで問題はないと考えます。

(3)未成年者が年齢を偽ったり、親権者の同意があるように装った場合
このような場合は、さすがに未成年者を保護する要請よりも、
取引の相手方を保護する要請の方が優先されるべきです。
したがって、取消はできません(民法21条)。

ネットの通信販売でいえば、生年月日を入力しないと発注できないようにしていた場合に、
未成年者が虚偽の生年月日を入力して成人を装っていた場合には、
未成年者側は取り消すことができません。

 

このように、未成年者だからと言って、全てのケースで取消ができるわけではないのです。

特に、販売時のシステム上で、(3)で挙げた例のように、
必ず生年月日を入力させるルールとしておけば、このような問題は生じないと言えるでしょう。

 

本日はここまでとします。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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