vol.24 【第13回】BtoCビジネスを成功に導く『債権回収』 督促架電の段階的対応のコツ ~中期対応編~

前回は、自社督促時の督促架電の初期対応について解説しました。

本日は中期対応についてです。
初期対応時にクレームとなった債務者に対して適切な対応を完了していれば、残る問題は「代金を支払ってもらっていない」という点だけです。

現在既に契約違反状態にあり、「至急支払われなければならない」ということを交渉のスタート地点にすることで、債務者の身勝手な主張を防ぎ、交渉のペースを握ることができます。

このような契約違反状態が明確となった債務者に対する架電対応のポイントは3つです。

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①事の重大性を認識してもらう

②ムチとアメを使い分ける

③債務者の現状を聴取し、支払いやすい方法を提案する

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まず、①はとても重要です。

単に「○○円の未払いがあるので、お支払いただけますか?」とお願いするだけでは、債務者はこの種の督促電話に慣れっこのケースが多く、「今お金がないので、用意できるまで待ってよ」などと交渉の主導権を握られてしまいます。

そうしているうちに、より督促の厳しい他社への支払いを優先されるということはよくあります。

そこで、債務者に支払いについて本気で考えてもらうために、以下のようなトークをする必要があります。

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・今回の未払いが社内で問題になっている。

・このままだと担当者や部署が代わり、柔軟な対応ができなくなる。

・1日でも支払いが延びることで、遅延損害金が加算され、支払い総額がどんどん増えていく。

・弁護士委託や法的手続きに移行する場合もある。

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次に②のアメとムチです。

交渉術としてアメとムチの有効性は広く知られていますが、実際には、ムチ→アメの順で使います。

何とか支払い意思を持っている債務者でも、現実問題、債務の全額を即時一括で支払うのは難しい場合もあります。

そのような場合は、①の事の重大性を伝えるだけでは不十分で、何らかの譲歩(一部減額、支払期限の延長、分割払いなど)をすることになります。

ただ、このようなアメを最初から債務者に与えてしまうと、債務者から舐められることは必至です。

「この会社は多少の遅れがあっても許してくれる」との印象を持たれてしまいます。

ですので、まずは①事の重大性を十分に伝えて(ムチ)、その後に、譲歩案(アメ)を出すのが効果的です。

具体的には、以下の対応です。
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・具体的な支払いの約束をしてもらうことを条件に、一定期間支払いを猶予したり、分割払いに応じる。

・約束通りに支払いがなされるのであれば、担当者や部署も変わらず、弁護士委託や法的手続きにも移行しない。

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最後に③です。

以上のように、ムチ→アメで何とか支払いの話になった際にも、安易にアメを与えてはいけません。

未払いとなっている債務者、一括払いは原則なのですから、例外を認めるのであれば、お金が用意できない事情を具体的に説明してもらいましょう。

具体的には、以下の聞き取りが必要です。

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・就業しているかどうか

・その場合、給料日と金額、あるいは自営業であれば、業種や入金の形態(現金商売かどうか)、時期

・就業していないのであれば、年金・手当等の受給の有無、支給日

・収入があるにもかかわらず、支払いできないのであれば、その具体的理由

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このような聞き取りを経て、例えば、「給料日が25日でしたら、毎月26日を返済期限としておきますね」とか、自営業で現金商売であれば、「月に1度大きい支払いをするよりも、月3回に支払期日を分けて分割にした方が支払いやすいですよね」などと提案します。

こういった配慮で回収率は上がっていきます。
本日はここまでとします。

次回は、「電話に出てくれない債務者に対する対応法」について解説していきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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